猫を見ていると熱心に自分の身体を毛づくろいする姿を見ます。猫にとってこの毛づくろいは普段何気なく行っているように見えますが、大事な行動です。
猫の毛づくろいについて書きます。

目次

猫が毛づくろいをする理由
猫が毛づくろいをするとき
猫が毛づくろいをしない
ブラッシングをしてあげる
まとめ

猫が毛づくろいをする理由

猫が毛づくろいに費やしている時間は起きている時間の30~50%と言われています。
毛づくろいは猫の本能行動で飼猫、野良猫に関係ありません。
毛づくろいをする理由として4つあり、有効かつ大事な行為であることがわかります。
・身体を清潔にする
猫の被毛はとても柔らかく、また毛が生え換わる換毛期と呼ばれる時期はたくさんの毛が抜けます。
この時期に何もしないと、毛が柔らかいので絡んで毛玉ができやすく、毛玉ができた毛の根本に皮膚炎を起こすことがあります。
猫は毛づくろいすることで、不要な抜け毛を除去するので、毛玉が無く滑らかに整った毛並みが維持できています。さらに、被毛に付着したほこりや外部からの寄生虫(ノミやダニ)なども一緒に取り除き、皮膚や被毛を清潔な状態に保ちます。
猫の舌には小さな糸状乳頭と呼ばれる無数の突起があり、この突起がブラシに代わる役割を果たします。
・リラックスする
猫はザラザラした舌で毛づくろいする刺激が脳を活性化し、脳からセロトニンが分泌されて、精神を安定させると言われています。
また、子猫は生後一か月くらいまでは自分で毛づくろいができないので、母猫が代わりにおこないます。この子猫時代に刷り込まれた甘い記憶も影響しています。
・体温を調節する
暑いときは汗をかいて、熱を放出し体温調節をし、汗は皮膚にある汗腺から出ます。汗腺は人の場合は全身に分布していますが、猫の汗腺は肉球にのみ存在します。
肉球だけで体温調節は無理なので、毛づくろいをするときに、一緒に唾液を被毛に付けることでその唾液が蒸発するときに体温を下げています。冬は毛づくろいにより被毛の間に空気を含ませることで、熱を逃がさないようにしています。
・信頼関係を築く

猫を2頭以上飼育している家では、アログルーミングと呼ばれる行為が行われます。猫同士が互いに身体を舐め合う愛情表現の一つです。舐め合うのは、頭から首、耳の後ろなど自分が舐めることができないところです。お互いに舐め合い信頼関係を保っているのです。

猫が毛づくろいをするとき

猫がどういう時に毛づくろいをするのか知っておくと、体調の変化に気付くことができます。
食事の後によく見られるます。猫は食後に付いた口周りや前あしの汚れを取るために舐めます。その後に全身を毛づくろいしていくパターンが多いです。猫のこの行動は、野生ではハンターであった祖先の習性で、捕らえた獲物を食べた後の臭いを消すためと考えられています。
また、遊んだ後やトイレ後、眠る前などの一息つく時に行うことが多いです。
他には、驚いた時、興奮した時など、ストレスを強く感じるときに気持ちを落ち着かせるために、毛づくろいすることがあります。これは転位行動と呼ばれ、不安や恐怖、強いストレスを一見無関係な行動で発散する行動です。まんべんに全身の毛づくろいをせずに、一部分を集中的に執拗に舐めるような構想が見られます。
これは強く転位行動がでたためで過剰に毛づくろいを行い、舐めた箇所の脱毛が見られることががあります。
何かの原因でストレスを受け続けていると考えられ、放っておくと脱毛が広がるだけでなく皮膚炎を起こすこともあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
また、アレルギーなどの皮膚炎で痒みがある場合や身体のどこかに痛みがある場合は、毛づくろいの頻度が過剰に増えるので、早めに動物病院で診てもらいましょう。

猫が毛づくろいをしない

毛づくろいは猫の生活に欠かせない行動なので、必ず毛づくろいをします。
毛づくろいをしなくなったら、猫自身の身体の異常が起きていることを考えましょう。もともとあまり毛づくろいをしない猫もいれば、熱心にする猫もいるので、毛づくろいする頻度を日頃から観察して、すぐに変化に気づけることが重要です。
高齢になると、毛づくろいをしなくなることが多くなります。
また、関節炎などで身体を動かすのが難しくなり、細かい毛づくろいが困難になってきます。また、痴呆になる場合もあります。
若い猫でも大きな病気にかかった場合は、毛づくろいをすることがなくなってしまうことがあります。
その場合、食欲がなくなったり、動かなくなったりと他の体調の変化がでるので、早急に動物病院で診てもらいましょう。
他に、口腔内に口内炎などの疾患があると、舌が痛くて毛づくろいをできない場合には、よだれ、口臭、食べる時に痛がるなどの症状がでてきます。
毛づくろいをしない状態が続くと毛玉ができて皮膚炎を起こすので、動物病院で診てもらいましょう。
飼い主は毛づくろいをしないときにブラッシングをしてあげましょう。

ブラッシングをしてあげる

自分できっちりと毛づくろいを行っていれば、フラッシングは必要ないと思われるかもしれません。
特に長毛種の猫は、自分でする毛づくろいだけでは十分といえません、もつれた毛を防ぐためには飼い主が日々ブラッシングをしてあげることが必要です。
また、換毛期は短毛種でも抜け毛が増えるので、状態を見て最低週に2回程度はブラッシングをしてあげましょう。
また、ブラッシングは飼い主と猫の重要なスキンシップツールとなります。
猫同士で行うアログルーミングと同様に、飼い主が顔や首周辺をブラシで優しくブラッシングしましょう。
猫はリラックスし、飼い主との間により強い信頼関係を築くことができます。
今までにブラッシングをしたことがない場合は、猫が気持ちよさそうなところを短い時間でブラッシングして、徐々に時間を長くしていくのがよいでしょう。最初から長時間行うのはだめです。 
ブラッシングを日常のケアとして取り入れて、被毛の状態や皮膚の状態、痛がる場所に注意して、健康状態をチェックしましょう。
長毛種の猫、毛量の多い猫、過剰に毛づくろいをする猫は、他の猫と比べると多くの抜け毛を飲み込んでしまい、消化されなかった毛が毛玉として消化管にたまる毛球症になります。ブラッシングを行うことで飲み込む毛の量を減らすことで毛球症を予防することができます。
毛玉をよく吐くなどの症状が見られる猫もこまめにブラッシングを行うことで改善できる可能性があります。

まとめ

毛づくろいが猫にとってとても有効で大事な行動だということをおわかりいただけたとおもいます。猫の体調を把握するために日頃からよく観察して、異常に早く気づけるようにしましょう。
また、猫との絆を深めるための習慣としてブラッシングをしましょう。

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